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引越し荷物と一口に言っても、その内容はさまざまです。家具や家電、食器、楽器など、暮らしの上で用いるさまざまなものが考えられます。今回はその中でも、仏壇・神棚の扱いについてまとめました。宗教的な意味合いも伴うことから、一般的な荷物とは少し異なった方法で取り扱われます。ご先祖様に失礼のないよう、正しく新居へと運びましょう。
輸送方法としては、通常の荷物ともほぼ変わりはありません。それどころか、机やベッド、家電などと比べて小さいケースがほとんどであるため、比較的運びやすい物であるとも言えます。
主には、仏壇は周囲を養生で多い、揺れや振動で傷がつかないようベルトで固定します。木製の物が多く、また細かな装飾が施されているケースも少なくないので、通常の荷物よりも入念に扱われます。
次に神棚ですが、こちらは仏壇と比べ、さらに小さい場合がほとんどです。加えて自立しないものも多いので、基本的には大型のダンボール等に収めて運びます。しかしこの際も、木製のもが多い点や装飾が細かいことを考慮するべきであるため、緩衝剤を多めに同梱し、また他の荷物に押しつぶされないよう、荷台上部に置かれる形が一般的です。
次に、仏壇や神棚ならではの特別な作業です。これら神仏具には、ご先祖様、仏様、神様が宿っていると考えられています。日本は信心深い国であるため、こうした面を大事に考えます。そのため引越しの際には、勝手に動かさず、まずはお寺に依頼してお坊さんに来てもらい、相応しい作法のもと動かす準備を行う形となります。
ここで行われる作法とは、精を抜く作業です。仏像、位牌、仏壇、また神棚に祀られている神様の魂とも言える存在を抜くことで、一端、仏壇や神棚をただの""物""の状態にします。これにより、ご先祖様や神様に失礼のない輸送を行うことができるのです。
新居に到着した後は、また再度お坊さんに依頼し、一端抜いた精を戻す作業を行ってもらいます。以前の住所から離れた箇所に引っ越す場合は、同じお坊さんに依頼することが難しくなるので、新しい居住地で別のお寺にお願いする形で問題ありません。しかしこの際、かならず同じ宗派のお寺に依頼することが重要となります。
精を抜いたり入れたりしてもらうことを、抜魂、入魂と呼びます。そしてもちろんこれらには費用が発生するので、あらかじめ相場金額を押さえておくことが欠かせません。お寺における依頼となるので、料金はお布施にて支払う形となります。
一般的には、およそ1万円から3万円が相場となっています。それに加え、お車代、茶湯代と言った経費も加算される形となるので、少し多めに見積もっておくとより安心です。手渡す際には現金の状態ではなく、帯の入った専用の封筒に入れておく形が一般的です。失礼のないよう、マナーを守ってお願いすることが大切です。
多くの人にとって、日常的にお寺を利用しているケースは少ないことでしょう。そのため、いざ引越し時の依頼を検討したいと思っても、少し抵抗を感じるかもしれません。
そんなときに役立つのが、大手引越し業者への相談です。仏壇・神棚の取り扱いにも慣れているため、スムーズな輸送に期待が持てる他、お寺への依頼に関してもサポートしてくれるケースが少なくありません。
神様やご先祖様の霊は目に見えないものであるため、基本的にはこうした作法を用いることなく輸送することもできます。しかし、日本に生まれ仏教の教えに則り生活しているのであれば、やはり正しい作法のもと移動させたいものです。新生活を気持ちよくスタートさせる上でも、正しい流れを把握しておきましょう。