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引越しで受け取れる手当、助成金・補助金|相場も解説

更新日:2023/06/27

引越しで受け取れる手当、助成金・補助金|相場も解説

引越しは、たとえ単身者によるものでも最低数万円のお金がかかります。
こうしたときに引越す人のお財布の助けとなるのが、行政が設けている助成金・補助金や勤務先から支給される引越し手当です。
この記事では引越しによって受け取れる助成金、補助金、手当にどんなものがあるか、その相場を解説します。

行政機関で給付される引越しに関する助成金

行政機関で給付される引越しに関する助成金

国や都道府県、市区町村といった行政機関は、さまざまな助成金や補助金を設けています。
その中には、結婚などのライフステージの変化や転入などを支給の条件としているものもあり、これらは引越しに関連した助成といえます。
ここでは結婚によって支給される「結婚新生活支援事業」や家賃の支払いが困難になったときに支給される「住宅確保給付金」などといった代表的なものを紹介します。

一方で、ここで挙げるのはあくまでも一例ですので、これから引越しを検討する人は引越し先の自治体の制度を確認してみてはいかがでしょうか。

結婚新生活支援事業

結婚新生活支援事業は国が行うもので、結婚する人の諸費用の負担軽減を目的とした事業です。
この事業には、国と自治体が連携する「都道府県主導型市町村連携コース」「一般コース」の2種類があり、補助上限額が異なります。
このうち都道府県主導型市町村連携コースは導入している自治体が限られており、導入している自治体にお住まいの方は都道府県主導型市町村連携コースを、それ以外の人は一般コースを選択するのが一般的です。

補助金額

コース 補助率 補助上限額
都道府県主導型市町村連携コース 3分の2 夫婦ともに29歳以下:600,000円
それ以外:300,000円
一般コース 2分の1 300,000円

条件

次に、支給を受けるための条件は下記の通りです。

  • 2022年1月1日から2023年3月31日までに入籍した世帯
  • 夫婦の所得の合計が4,000,000円未満(おおよそ世帯収入が5,400,000円未満。奨学金を返済している場合は、年間返済額を所得から控除)
  • 夫婦の婚姻日時点の年齢が39歳以下
  • その他、住んでいる市区町村が定める要件を満たす世帯

支援を受けるための申請は、すでに市区町村へ婚姻届の提出を終え、結婚にかかる費用を支払った後になります。
かかった費用の領収書など、証明できる書類の提出も必要となります。
どんな費用が補助の対象になるかは、以下の通りとなります。

  • 婚姻に伴う住宅取得費用
  • 住宅リフォーム費用や住宅賃借費用
  • 引越し費用

申請の流れ

申請は、各地市区町村役所・役場で行います。
申請方法は、住んでいる市区町村によって変わる場合もありますが、大まかには次のようになります。

  • 入籍し、補助の対象となる費用を支払う
  • 必要書類を提出する
  • 交付決定兼確定通知を受け取る
  • 補助金を請求する
  • 補助金を受け取る

このうち、必要書類は次の4種類です。

  • 申請書・誓約書
  • 婚姻していることの証明書(婚姻届受理証明や住民票など)
  • 住宅の売買契約書や賃貸借契約書といった住居に関する証明書類
  • 領収書など事業の対象となる支払いを証明できる書類

申請から支払いまで、おおよそ1か月程度かかります。
なお、自治体ごとの本事業の予算が消化されてしまうと補助が受けられない場合もありますので、できる限り早めに費用の支払いを終え、申請するのが良いでしょう。

住宅確保給付金

離職・廃業してしまった後に、引越しせざるを得なくなり、引越し費用や新しい住居の費用に困る、という人もいるかもしれません。
そんなときに活用できるのが、住宅確保給付金です。

補助金額

給付される金額は市区町村や世帯構成によって異なりますが、家賃相当額の全部または一部を原則3か月、最大9か月支給されます。

条件

対象となるのは、以下の人です。

  • 世帯で主たる生計維持者となる人が「離職・廃業後2年以内」もしくは「給与などを得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している」場合
  • 直近の月の収入額が基準額と家賃の合計を超えていない
  • 預貯金が各市区町村が定める金額を超えておらず、なおかつ1,000,000円を超えていない
  • ハローワークへの求職申込みをするなど、求職活動を誠実かつ熱心に行っている

このうち、2つ目に挙げた基準額とは、市町村民税の均等割が非課税となる12分の1の金額のことをいいます。

申請の流れ

住宅確保給付金に関する相談や申請は、各市区町村に設けられた生活困窮者自立支援機関で行います。
厚生労働省のウェブサイトで生活困窮者自立支援機関の窓口が掲載されていますので、ご覧ください。

住宅ローン減税

直接的に助成金、補助金が給付されるものではありませんが、ローンで家を購入することによって所得税や住民税の控除を受けられるのが、住宅ローン減税です。
新居をもつことによる減税という点で、引越しに関連するものといえるでしょう。

詳細は国土交通省の住宅ローン減税のページをご覧ください。

補助金額

繰り返しになりますが、お金を受け取れるものでないものの、住宅ローン減税は所得税から0.7%が最大13年間控除されます。
さらに、所得税だけで控除しきれない場合は住民税から一部が控除されます。

条件

住宅ローン減税を受けるための条件は、以下の通りです。

  • 減税を受ける人の居住用住居であること
  • 原則、床面積が50㎡以上であること
  • 中古住宅の場合、耐震性能があること
  • 10年以上のローンであること(控除期間は既存住宅で10年、新築住宅等は原則13年)
  • 所得が30,000,000円以下であること
  • 増改築等の場合、工事費用が1,000,000円以上であること

日本では家を買う=新築という先入観を持つ人も少なくありませんが、上記のように中古住宅も適用されますので、ローンを組みつつ持ち家に引越す人は検討すべき制度といえるでしょう。

申請の流れ

特に申請のプロセスがあるわけではなく、条件を満たし確定申告時に住宅ローン減税を適用する旨を申告する流れとなります。

東京都新宿区の助成金

ここからは、都道府県、市区町村といった自治体が設ける制度を紹介します。
まずは、東京都新宿区による「民間賃貸住宅家賃助成」「次世代育成転居助成」です。
「民間賃貸住宅家賃助成」は民間で運営されるマンションやアパートに住む、子育て世帯を支援するものです。
2022年度はこれからの実施であるためまだ詳細が発表されていませんが、2021年度は月額30,000円が助成されていました。
ただ、2021年度の募集に対する助成の倍率は4.2倍と比較的高かったため、必ずしも助成を受けられるとは限らないという心構えは必要といえるでしょう。
一方、「次世代育成転居助成」はすでに新宿区に住んでいる義務教育修了前の子がいる世帯が、同区内でより良い住環境に住み替えるための支援です。
転居前後の家賃差額(月額最大35,000円)と引越し代の実費最大100,000円が助成されます。

愛知県移住支援事業

続いては、愛知県の引越しに関する助成となります。
愛知県移住支援事業は、東京圏の人による愛知県へのIターン・Jターンを目的に、家族の引越しであれば1,000,000円、単身では600,000円が支給されます。
東京23区内に通勤通学していたことが最低条件となります。

子育て世帯住替え助成事業(福岡市)

前述の新宿区の制度と同様に、福岡市でもより良い子育てのための住環境へ住替えることを目的とした助成事業を行っています。
子育て世帯住替え助成事業では、住替えにかかった費用の合計の2分の1、最大150,000円が助成されます。
親世代との同居・近居や多子世帯には、この上限にさらなる上乗せの金額が支給されます。

引越しで使える助成金の対象になりやすい人

引越しで使える助成金の対象になりやすい人

行政による助成金、補助金の場合、「対象になりやすい人」が存在します。
特にいえるのが、ライフステージに変化があった人や収入が低いなどで生活が困難な人です。

子育て世帯である

前述した新宿区や福岡市の制度のように、子育て世帯であることを条件とした助成金、補助金は多々存在します。
子育て世帯は良好な住環境の確保のほかにも、教育費用や日常の生活費も相応の金額がかかることから、市区町村は重点的に支援を行っているためです。

一人親である

一人親、とりわけ母子家庭の場合、必要な収入を確保するのが困難であることも少なくなく、自治体が支援するケースが見られます。
代表的なのは、各市区町村が行う母子家庭を対象とした住宅手当です。

新婚である

解説した「結婚新生活支援事業」のように、新婚であることも支援を受けやすい要件となります。
特に、結婚新生活支援事業は都道府県との連携も制度として組み込まれていますので、お住いの場所の行政が設ける支援はぜひチェックしてください。

高齢者である、障がい者である

高齢者、障がい者に対しては、直接的なお金の支援のほか、自治体によっては公営住宅への入居のハードルを低くしているケースがあります。
これも、引越しに関連した支援といえるでしょう。

親世代との同居を検討している

核家族化の進行によって、高齢の夫婦のみが暮らす、一人で高齢者が暮らすことは珍しくなくなり、生活に支障が出たり病気の発見が遅れて重症化したりといったケースが見られます。
こうした状況を防ぐため、親世代との同居に助成金、補助金を支給している場合が多々あります。
その一例が、前述した福岡市の子育て世帯住替え助成事業であり、親世代と同居・近居すると最低支給額に上乗せの金額が支給されます。

収入が低い

今回紹介した助成金、補助金の多くは、「所得が◯円以下」としている場合が少なくありません。
特に、住宅確保給付金のように低所得であることを前提としたものもあります。

勤め先から支給される手当について

勤め先から支給される手当について

会社員や公務員は引越しが必要とされる転勤、異動があった場合には、手当が支給されることがあります。
ここでは、多くの組織で支給される一般的な手当がどんなものか、解説します。
なお、手当の名称は勤め先によって異なります。
どういった条件でどんな手当が支給されるかといった詳細は、勤め先の就業規則をご確認ください。

単身赴任手当

単身赴任手当は、家族を現在の住所に残しながら単身で転勤先へ引越しをするときに支給される手当です。
この手当が支給される条件として、子どもの教育や家族の介護などの理由があって単身赴任せざるを得ない場合を定めている企業があります。
国家公務員の場合は、一律30,000円に、距離に応じた8,000〜70,000円の加算額が支給されます。
民間企業では、厚生労働省の「就労条件総合調査」によるとおおむね30,000〜50,000円程度が支給されているようです。

転勤支度金

引越し費用をはじめとした転勤にかかる費用を補うため、転勤支度金を支給する企業もあります。
支給額は、企業により、また引越しの距離や役職などによっても大きく変わり、数万〜数十万円の幅が出てきます。

新卒で入社する社員も引越しの手当をもらえる?

新卒で入社する社員も引越しの手当をもらえる?

新卒で入社する会社が遠方で、就職のために引越しが必要となる場合の引っ越し手当は、企業ごとの就業規則によります
入社前の引越しは手当が出ない企業も多くある一方で、研修を受けた後に遠方の勤務地に配属される場合、「転勤」扱いとなり、手当が支給されるケースもあります。
この場合、引越し費用・敷金礼金などの初期費用の全部あるいは一部が支給されるようです。
ただし、企業によって方針は様々なので、入社する企業の人事担当者などに、直接問合せてみるのがおすすめです。

まとめ

引越しで受け取れる手当や助成金・補助金について、次のようにまとめられます。

  • 国が設けている助成金・補助金の代表例として「結婚新生活支援事業」「住宅確保給付金」「住宅ローン減税」がある
  • 都道府県、市区町村も住替えやUターンなどで助成金・補助金を支給している
  • ライフステージに変化があった人、子どもや高齢者などが家族にいる人は助成金・補助金をもらえる対象になりやすい
  • 引越しの際、勤め先から「単身赴任手当」「転勤支度金」などの手当が支給されることがある
  • 新卒の入社で引越しが必要となる場合も、手当が支給されることがある

これらを上手に活用することで、引越し費用の全額をまかなえる場合もあります。 助成金・補助金・手当が支給される条件は細かく定められていますので、行政の窓口や会社の総務・人事などに確認すると良いでしょう。