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月々の家賃ってとても金銭的に大きいですよね。毎月必ずかかってくる費用ですし、「少しでも浮いてくれれば家計は大助かりなのに…」と考えている方はたくさんいると思います。
そんな家賃なのですが、賃貸契約の更新時には家賃交渉ができることを皆さんはご存知でしょうか。
賃貸契約にはあらかじめ期間が定まっています。一般的な契約期間は2年です。だからといって、2年後に退去しないといけないわけではありません。そのまま契約期間満了時に住み続けたい場合は、契約更新するようになります。
賃貸契約をする時は敷金・礼金などの初期入居料が必要ですが、更新時には「更新料」が発生します。
ただし、初期契約時の敷金・礼金と同じように、更新料にも地域的な慣習があります。というのは、更新料の必要有無、また必要な場合の金額は様々なのです。
一般的には家賃の1~2ヶ月分が相場されており、更新月には家賃に加え更新料が必要なため、通常払う家賃の2~3倍の金額が必要になります。
物件を貸す側(大家)は、家賃金額を決める際に適当に決めるのではなく、きちんとした計算方式に従って決めています。この計算方式には、主に次の3つがあります。
しかし、きちんとした計算に基づいて定められた家賃額でも、不動産物件の価格(家賃)は経済事情や建物の状況、環境の変化などにより変動するのが通常です。同じマンションでも、居住時期の違いによって家賃金額が異なることがありますね。
各賃貸契約の家賃金額は入居時に定められています。しかし、その金額を払い続けなければならないわけではないことを知ってますか。「借賃増減請求権」といって、建物の賃貸借について定めた借地借家法でも家賃の増減交渉が認められています。
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
そもそも賃貸契約を交わすときには、物件を確認し、相場をチェックしたうえでその賃料に納得したうえで入居しているでしょう。
それでもやはり、自分が入居した後しばらくして、「同じマンションの新しい入居人はもっと安い家賃額で契約している」という情報をキャッチしたり、入居時にはなかった建物が近所に建設され日当たりが悪くなったり、騒音が気になったり…などと、今払っている金額に納得できなくなることはありえます。
法律では家賃の増減交渉を認めており、入居中のいつでも交渉可能とされています。ただし、賃貸契約書に「契約期間中の家賃変更はない」などの定めがあれば、契約期間中の変更は出来ません。賃貸契約書の内容をしっかり確認することが必要です。
契約更新時には契約内容も見直しされるのが通常です。そのため、契約更新時には家賃の交渉がしやすくなるのです。
しかしながら、いくら法律で認められているとはいえ、「単に家賃を安くして欲しい!」という理由だけでは納得してもらえません。賃料増減交渉は、貸す側(大家)・賃りる側(入居人)の双方ともにメリットになることはありません。家賃額が下がると入居人にはメリットがありますが、大家にはメリットがありません。もちろんその逆も。
このことが双方の関係悪化に繋がってしまうと、双方の関係性の悪化につながる恐れがあり、後々の契約期間中に修繕などの必要が生じた時に依頼しにくくなってしまうこともあります。交渉にあたっては、慎重に行い、貸主を納得させるだけの理由も必要だということをしっかり頭に入れておいてください。
家賃改定の理由には、「固定資産税の負担の増減」、「土地建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動」および「近傍同種の建物賃料との比較などで今の家賃額が不相応になったとき」などが挙げられます。
このうち自分でも調べやすいのが「近傍同種の建物賃料との比較」。近隣の不動産業者やネットの不動産サイトなどで、近隣の家賃相場を調べますしょう。
自分が住んでいる物件に空き部屋があれば、その家賃は必ずチェックしてください。立地・築年数・間取り・設備など様々な条件を見ながら、レベルが同じような物件の家賃が今住んでいる物件の家賃よりも安ければ、交渉の大チャンスです。
近隣物件の方が安いことが分かっても、不満を前面に出して交渉するのでは請合ってくれません。正当な理由を明示し、今の物件に住み続けたい意思を表現することが交渉をスムーズにさせるコツでしょう。
契約更新時に、家賃が下がれば必ず更新するなど、誠実な態度を貸主に対して示しながら、貸主に空き部屋リスクを避けるように検討させるように望みます。ただし、人気の物件、引越し需要の多い時期には上手くいかないこともあります。事前にそれなりの調査・研究を行うことが大切です。
公開日:2015年11月27日
CFP® 。南仏在住。日本での金融機関&独立ファイナンシャルプランナー経験をフランスで活かすべく、「日本とフランスの繋ぎ役・架け橋」となるために事務所を設立。
家計管理、ショート&ロングステイに関する相談など、また自らシャンブル・ドットの運営をしながらフランス生活全般をサポートするFPとして活動中。
連載コラム「身近な経済学」(フランスニュースダイジェスト)など数々のマネー記事を執筆。